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冠婚葬祭の変遷

先日、同じ班の人が90歳で亡くなられた。
俺は今年度地域の班長をしているので、喪主さんから一報があった。
「家族葬で行うので隣組の人たちにはご連絡まで」とのことだった。
以前は近所でお葬式があると2日は仕事を休まなければならなかったが、
今は家族葬が主流となり、逆に「何もしなくていいの?」と不安になる。
昔ながらの付き合いはどんどん廃れていくと思うが、
ウチの地域も時代の流れに乗っているというか流されている。
だがこれは今までは誰も口には出さなかったが、みんなが望んでいたカタチなのかもしれない。

全国的に葬儀のあり方が様変わりしつつある。
特にコロナ禍を境に、ウチの周りも「家族葬」が大半となっている。
しかし、他方ではかつてのように費用をしっかりとかけた重厚な葬儀を重んじる年齢層や、
土地柄もあるようで、家族葬に踏み切れないこともあるという。

田舎では、冠婚葬祭に命をかけてるようなところもあるそう。
お葬式も一週間かけて、日本全国から聞いたこともない親族が駆けつけるとか。
田舎に限らず都市部でも名家を気取る家ではうるさいらしい。
義理人情と言えば聞こえは良いが、所詮見栄の張り合いなんだよね。
家族葬にしたことにより誰から何を言われても「故人の希望でしたので」で良いじゃない。

ただ、昔風のお付き合いが残っているところだと、家族葬にした場合、
「せめてご自宅でお線香を」と、弔問客がばらばらに尋ねてくるのでかえって大変だという事もある。
近所の自営業のお宅では、いつ来るかわからない弔問客のために、
家族葬の後は1週間外に出られなかった、そして四十九日までの土日も自宅待機だったそうだ。
葬儀場で短期間で一気に行うのも、家族葬にするのも、一長一短があるよね。

結婚式もそう、
地域によっては派手な結婚式がまだ多く残っている。
招待客の人数自慢、新婦のお色直しの回数自慢、引き出物の質自慢などなど、
これも見栄の張り合いでしかない。

ウチの周りでも、俺たちが結婚した30~40年前までその色は根強く残っていた。
そしてそれは「誰もが通る道だ」と、普通に思っていた。
席次表を見ると、親族席、友人席、会社の人の席以外は、顔も名前も知らない親父関係の人ばかり。
当時リーマンだった俺は、「これって誰の結婚式?」と、両親と少し喧嘩になった。
「お前の結婚式でもあるけど、七家の結婚式なんだよ」と言ったばあちゃんの言葉を忘れない。

ウチの次女みたいに入籍だけの結婚もある。
「見栄」が勝つか、「ムダ!」が勝つか、
時代は変わる、まさに多様化の時代だ。


つづく。


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