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依存症の手本

新入社員だった俺は、22歳にして酒に対する自分の限界を知った。
バブルを経験済みの会社の上司にも、
「自分の限界を知っておけ、限界が解っていればそれ以上飲まなくなる」と言われた。
飲み過ぎて嘔吐しようものならば、
「もったいない、酒に失礼だろ」とも言われた。
俺たちの業界がまだ3Kと呼ばれていたダーティーなイメージころのことだ。
上司の忠告の効き目は絶大で、(ヤバイ)と感じたらグラスの中の水の配分を調節した。
そのおかげで酒と友達になれた。良い飲み方を覚えたのだ。
しかし睡魔にはいつも勝てなかった。
日中の肉体労働に毎晩9時までの残業、休日出勤も当たり前、
日々の疲労と睡眠不足に加え毎晩のように飲み歩いていたのだから、眠たくもなるわ。
知らない人からしてみればそれをブラックアウトと言うのかもしれないが、
本当の限界を知っている俺にしてみれば、それはブラックアウトではない。

夜中3時まで飲んで翌朝7時には職場到着、8時にラジオ体操と朝礼、
朝礼では司会をやって「体調管理の徹底」と周りに注意を促す。
自分の体調管理をしろよって言われそうだ。
酒の限界は知っていても体力に限界は無い、仮眠を取れば復活できると思っていた。
若いから成せる業だ。いくらでも無理が出来た。
  
無理と言えば、高校生の時に原チャリで何キロ出せるか試したことがある。
まだ原チャリはノーヘルOKの時代の話なので時効だと思うが、
リミッター解除とボアアップして時速100キロは出た。
今考えると恐ろしい話だが、俺はもっと恐ろしいことをしていた。
数年前までの俺は飲酒運転の常習者だった。 酷い話だね。
飲酒していても、走る時間と道を選んで速度超過に気を付けていれば、
捕まることは無いと確信していた。 この時点でアウトだね。

このように俺は人に隠れて無茶を繰り返していた。
他人にバレないように嘘をつき、人知れず隠れて違反を繰り返す。
アルコール依存症のお手本みたいな脳内構造だ。

隠し事にはバレない自信があったのだが、
連続飲酒が始まったころからその自信は「バレたらどうしよう」という不安へと変わった。
バレるのが怖かった。
平静を装いながらも、言動と顔色、持久力低下、特に酒臭さは隠しきれなかったようだ。
バレていないと思い込んでいた俺の隠ぺい工作は強制入院させられるまで続いた。
以前にも書いたように入院直後は、どこに居るのか?なぜ檻の中に居るのか?
理解できなかったと言うよりも、理解しようともしなかった。
捕獲されたノラ人間だった。
その時のことを思い出そうとしても記憶が飛んでいるので思い出せない。
妻は、「この人はもう帰って来れないんじゃないか?」と思っていたそうだ。

酒から離れて3年、
通常営業に戻れた現在に感謝するよ。

つづく。








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