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禁止薬物にならない酒

厚生労働省研究班の調査によると、
日本の飲酒人口は、男性の82.4%、女性の60.1%で、合わせて8428万人。
では、どのくらいの人が飲みすぎているのか?
リスクの高い飲酒者は、男性の14.4%、女性の5.7%が当てはまり、合わせて1039万人。

飲みすぎは様々な病気や事故、職場での労働損失を引き起こす。
2011年に研究班がこれを金額に換算したところ、
社会的損失は年間4兆1483億円という結果になった。
この金額は酒税の3倍を超えてしまう。
飲みすぎは個人や家庭だけの問題ではなく、社会全体の問題でもあるのだ。
その額はアルコール飲料の国内市場規模の約3兆6000億円を上回る。
「酒は経済的損失をもたらす」というのが政府の見解なのだ。
その中で、飲み過ぎによる病気やけがの治療は年間1兆101億円と推計されている。

飲みすぎによる労働・経済への影響は、治療費を大きく上回る。
飲酒や体調不良により生産性が低下する、病気休暇や死亡により労働力を失うなど、
労働損失と雇用の喪失は年間推定4兆円にも上る。
また、自動車事故・犯罪・社会保障によるその他の社会的損失は、年間約283億円。
アルコールの有害な使用は、個人や社会の発展を危険にさらしているのだ。

経済効果よりも高い経済損失を生み出す「酒」は、なぜ禁止薬物にならないのか?
日本の「飲み」の文化で特徴的なのは、
儀式にもなるほど根付いた酒文化と、酒を飲む頻度の高さだ。
日本人のアルコール消費量は世界と比べても多くないが、
アルコール消費頻度は世界でもトップクラスだ。
そして、嗜好品としての地位を確立しているのは、
アルコールマーケティングの極めて強固な特権的地位が影響していると考えられる。
アルコールの広告は非常に大規模かつインパクトのある形で行われている。
これは、全世界でマーケティングに多額の出資を行う清涼飲料水大手の広告費を軽く凌駕する。

そしてこれらの広告の特徴として、
アルコールを魅力的なもの、楽しい時間や成功に結びつけるようなイメージが形作られている。
そしてスポーツや、青春の時間などといった爽やかなものと関連づけることにより、
消費者にポジティブな印象を植え付けるのである。

なぜ、これほどまでにアルコール業界は優遇されているのだろうか。
最も大きいと考えられるのはアルコールのもたらしている経済効果であろう。
その経済効果は莫大であることが分かる。
この経済規模の大きさがアルコール産業への規制のかけにくさを作り出している。

しかしその裏には、経済効果を上回る社会的損失があることを忘れてはならない。


つづく。


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