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被害者無き犯罪

芸能人やスポーツ選手の大麻のニュースが多い。
最近では大麻関連での検挙者が、若者を中心に急増しているのだとか。
きっかけや動機は「誘われて」「興味本位で」が最多だと、
酒やたばこのデビューに似ている。
『大麻は他の薬物より安全、害がない』、『大麻は依存性がない、いつでもやめられる』、
『海外では大麻が合法化されているから安全』といった誤った情報が飛び交う。

大麻の有害性や危険性については、
「知覚の変化」「学習能力の低下」「運動失調」「精神障害」「知能指数の低下」などの変化が現れ、
脳などの中枢神経系に影響を及ぼし、依存症になるおそれがある。
これらはお酒でも同じこと、むしろ酒のほうがタチが悪い。
酒を禁止している国はあっても日本は禁止していない。

依存症というと、いまだに覚醒剤などの違法薬物やアルコールなどが想起されがちだが、
多くの依存症者は、快楽への欲求ではなく、仕事や学校、家庭内での、
生きづらさやこころの問題を自力で乗り越えようとした結果、依存症に陥っている。
依存症とは、先行きの不安な時代を生きる誰の身にも起こりえる身近な問題なのだ。

この約3年間のコロナ禍で特に深刻に感じたのは、
10代の若者による市販薬の過剰摂取オーバードーズ(OD)が急増したことだ。
また、依存症ではないが、リストカットや摂食障害で診察に訪れる子たちも増えた。
休校でステイホームを余儀なくされた結果、
家庭内に問題を抱えていた子どもたちが居場所を失い、こうした行為に至っていた。

思いかえせば、緊急事態宣言で多くの商店が休業する中、
ドラッグストアだけは元気に営業していた。
そこで購入した咳止め薬や風邪薬を乱用することで、
彼らは誰にも言えない生きづらさを紛らわせていた。
しかも、この流れは現在も続いていて、10代の薬物依存症者を対象に行った調査では、
ついに市販薬の依存症者の割合が違法薬物を上回ったことがわかっている。

この問題は、彼らに薬をやめさせても解決しない。
搬送されてきて初めて、支援が必要だと判明し、
解決の第一歩にたどり着ける子どもたちがたくさんいる。
また、自殺との関連も無視できない。
10代の自殺者総数は現在も増え続けているが、コロナ禍では特に高校生を中心に数が増えた。
生きるためにODをしていた子が、ある日ふと「もう死んでも構わない」という気持ちになって、
一線を超えてしまう、ということが増えている。

何にも依存することなく生きているなんて、所詮無理なはなしだ。
だれもが何かに依存している。
人間は、日々たくさんの人に助けられながら生きている。
それに人じゃなくても、仕事の合間のお菓子や帰宅後の晩酌など、
いわゆる“ご褒美”だって、場合によっては依存だと捉えられる。

依然として依存症者に対する偏見が根強い。
厳しい差別や偏見、社会からの孤立によって、破滅させられる。
殺人や性犯罪とは違って、違法薬物は「被害者なき犯罪」と言われている

はたして誰が正常者なのだろう?
依存症者を蔑み、自分だけは正常だと思いこみ、
自分の異常な部分に気づかないのも問題である。


つづく。


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