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過度な信頼、過出席

依存症の治療をするうえで、自助グループは非常に大切な社会資源だ。
回復して仕事を再開した人たちが並行して通い続けやすく、
なにより、職場でも家庭でもない第3の居場所があることは、どれだけ人を救うか計り知れない。
つらくて苦しいことほど、大切な人には話せないものである。

医師は、患者の症状を軽減させることはできるが、
希望を与え今後の生き方を示唆することはできない。
しかし、自助グループには「酒に溺れていたけど、今はこんなふうに生き直している」
という生き方のモデルが豊富にある。
依存症者の回復にとって、それがいちばん大事なものだ。

「集まる場所が必要だ」 「孤立を防ぎ、暮らしを守る」 「依存症は自分では気がつきにくい」
じつは「なんでこんなことをやっているんだろう」と、心の片隅で罪悪感を抱いている人も多い。
しかし非難されるとムキになって「意地でも辞めるもんか」と戦闘モードになってしまう。
そうならないことがまずは大切で、決して一人で抱え込まない。

しかし、自助グループへの過度の信頼や過出席も問題である。
自助グループへの積極的な参加は、一般的には問題ない。
自助グループは、メンバー同士が共通の課題や目標に取り組み、互いに支え合う場だ。
グループの活動やミーティングに参加することは、自己成長や問題解決の手段として非常に役立つ。
ただし、過度に出席しすぎることによって、他の重要な生活の側面や責任を無視してしまう場合は、
多方面で問題が生じる可能性があるのでバランスが必要である。
自助グループに通う時間やエネルギーが過剰になると、自助グループの活動に参加するために、
他の重要な生活領域(家族、仕事、趣味など)に支障をきたす可能性がある。
人間関係の多様性は、健康な精神的な状態を維持するために重要である。

一方、自助グループは特定の問題や課題に焦点を当てているため、他の側面を見落とす可能性がある。
また、自助グループは支援を受ける場ではあるが、過度に依存しすぎることも懸念される点である。
自助グループは自己成長や回復のためのツールの一つであり、
それ以外の健康的なサポートシステムや専門家の支援も重要だ。

総合的に言えば、自助グループへの過度の出席は、
サポートや共感を得るための重要な場で問題とは言えないが、
バランスを保ちつつ、自己のニーズや責任を適切に調整することが重要である。
他人の支えに頼りすぎることで、自身の問題解決能力や個人成長の機会が制限される可能性がある。

妻は自助グループ依存症である。
俺が断酒会に入会してから6年が経つというのに、
現在も、酒害者本人の俺よりも家族会の妻のほうが例会出席率ははるかに高い。
俺は不参加なのに、全国大会や地方ブロック大会、講演会やセミナーにも足繁く通っている。
俺は肝硬変および肝臓がん切除により、再飲酒の可能性は極めて低い。
例会や行事出席よりも、仕事面、家庭面で、精神病院入院前の信頼回復に重きを置いている。
妻と俺の中で、自助グループへの熱量があまりにもかけ離れている。

妻が夜の例会出席の間、俺は仕事をしながらネコとお留守番である。
妻が例会から帰ってくる時間には、朝が早い俺は既に夢の中だ。
依存症には集まる場所が必要だろうが、
家で孤立している酒害者本人の自分もいる。


つづく。


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