入院中の予定表

長女からLINEが入っていた。
「仕事の内容が違い過ぎる、ぜんぜんわかんな～い」と。
彼女は今月から部署が換わり、工場の管理業務から経理部に移ったのだ。
同じ会社の中とは言えど全くの畑違いだ。
化粧をするのも久しぶりだそうだ。
「解らないことは先輩に積極的に聞け、そして早く馴染め！」と返しておいた。
俺たちが新入社員のころは、所長に
「簡単に解られちゃぁ長年やってるこっちが困る！」
「まずは1年我慢しろ！」
「俺に聞きづらいことは職人に聞け！そして馴染め！」
と、よく言われたものた。
彼女も一歩ずつ大人の階段を上っている。
俺も頑張らないと！

妻に、「入院中に俺がやるべき予定とスケジュール表を出して欲しい」と言われた。
俺は毎日スケジュール表と日記をつけている。
ちょこちょこっとプリントアウトして、10月のカレンダーも添えてそれらを彼女に渡した。
俺のスケジュール表には妻のパートの月間出勤表も記してある。
彼女の大好きな断酒会の予定も入っている。
ゴミ出しのカレンダーも兼ねている。
猫やメダカの世話の内容と時間、畑の管理表も兼ねている。
日々のコロナの感染者数も入れられるようにしてある。
色分けをして、30分刻みだから見やすいと思う。

これが、アルコール依存症になりやすい人間の几帳面なスケジュール表だ。
これに自分が振り回されることを苦痛には思わない。
逆にスケジュールに管理されていることのほうがノンストレスなのだ。
しかし、予定通りに事が運ばなくなるとイライラする。
歯車がかみ合わなくなり空回りが始まると自暴自棄になり何かに逃げたくなる。
俺にとっての逃げ場は「酒」だった。
たらればになるが、酒に逃げなければ今月手術を受けることもなかった。
でも、反省はするが後悔ばかりはしないように努力している。

カラ元気だが、日々明るく振舞うようにしている。
そうしないとダメになりそうで怖いからだ。

前を向かなくちゃ！


つづく。



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