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自動ブレーキ

久しぶりに断酒のはなし。

酒は好きだった、と言うか愛していた。
タバコもそうだが、酒を飲むと「大人の仲間入りだ、子供じゃないんだ」という、
優越感に浸っている部分もあった。
仕事終わりの飲酒は、その日1日の疲れを吹き飛ばしてくれた。
酒に酔って脳内が麻痺していただけだけど。

そして酒は、小心者の俺に勇気を与えてくれた。
酒が出る集まりには「これも勉強!」と、率先して出席していた。
酒を飲んで間違った発言をしても、「いやぁ、昨夜は飲み過ぎちゃって」と、
酒を理由にして逃げることができた。
言い換えれば、酒を重宝にズルく利用していた。
俺にとって、「酒」は常に楽しいものだった。
良い印象しかなかった。
しかし、もしものことがあってはならないので、
「酒」によって湧き出る高揚感は、現在は忘れるように努力している。

ご時世で酒宴の数が減って来ると、今度は「家飲み」に走った。
すると、「なんだ、買って飲んだほうが安いし家に帰らなくて済むじゃん」となった。
仕事や家庭への不安も手伝って、俺の家飲みはどんどんエスカレートして行った。
今度は、高揚感を楽しむ酒から不安を消してくれる酒へと変わった。

酒には、タバコやギャンブル同様に常習性があるのは周知の事実だが、
俺の中では、タバコは肺がんの元、ギャンブルは家庭崩壊の元という認識、
一方、「酒は百薬の長」と、飲みたいがために自分を無理やり納得させていた。
俺の家飲みは常習化し、昼夜問わず飲むようになった。
コップが焼酎のお湯割りで満たされていないと不安になった。
断酒している今でもそのクセは抜けず、コーヒーと炭酸水の過剰摂取は続いている。

周りには、「病気になったら酒やめるよ」と言っていた。
そして4年前、それは現実となった。
「飲みたい!」と思うことが許されないほど、酒は俺の身体を蝕んでいた。
「飲まない」じゃなく「飲めない」なのだ。

かつて俺がこよなく愛していた酒だが、今後飲酒することは無い。
タラレバになるが、もっと上手に酒に接していれば、
一生楽しく飲み続けていただろう。
飲酒は決して「悪」ではない。
飲酒量に問題がある。

この病気の人はブレーキが壊れている。
ビール1本で押えるブレーキを持っていない。
だから飲んではいけないのだ。

車のように自動ブレーキ(AEBS)があれば、
なんて、バカなことを考えたりする。

つづく。


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