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杉が伐れない理由

今朝は曇り空、花粉も一時停止か、
この春は、スギ花粉が過去10年で最も多く飛ぶそうだ。
ウチの家族は俺以外全員花粉症で悩まされている。
もはや国民病ともいえる花粉症。
でも、政府は基本的に国民に注意・対策を呼び掛けるだけ。
どうして日本は花粉症に無策なのだろう?

20年ほど前、東京都では30億円を超える予算を投入し、花粉症対策に本腰を入れていた。
当時石原都知事は、東京・多摩地区の杉を伐採し、
従来より花粉の量が少ない樹木に植え替える事業を開始した。
これは今も継続しているが林業の衰退もあり、なかなか進んでいない。
その当時、金額保証された東京産の杉丸太が、
原木市場に出荷され、近県の杉桧が一時的に値崩れを起こした。
一時的にそんなことをされても、
リバウンドを恐れて林業家や木材製造業者は製品価格を落とせなかった。

花粉症を発生させる原因にもなっている大量のスギの森林が生まれた背景には、
戦後の農林省(現農林水産省)の植林政策が影響している。
日本では、1950年頃から始まる高度経済成長のなかで木材需要が増えたことで、
成長が早く日本の自然環境に広く適応できるスギ・ヒノキの造林を推進された。
「もはや戦後ではない」という言葉に象徴されるイケイケの時代だった。
近所のお年寄りの話に、
杉の苗木が大量に無料で配られ、我先に広葉樹を伐採し杉を植えたそうだ。

しかし、いくら成長が早いといっても、
木材として活用できる程度に成長するには40~50年かかるのが一般的。
当時多く植えられた木は現在、木材として利用に適した時期を迎えているが、
木造家屋が減り木造の電柱はなくなった上に、スギの値段が下がったことなど、
時代とともに市場で不利な商材になったため、
林業は産業として成り立たなくなり伐採されることが少なくなってしまった。
経済の原理によって森林の育成は後回しとなり、伐っても売れない、売れても安い、
そのため山は誰にも顧みられずに荒廃していくという悪循環に陥ってしまった。

近所の山主は言う、「伐っても赤字なら、固定資産税払っているほうが損は少ないよ」と。
道やダムを造るために、伐採される立木が金額保障されているように、
花粉症のために立木の保証をしてくれるなら伐れる。
バブル期にはゴルフ場建設で山林を売り、そこに立つ杉桧も伐採されたころもあった。
最近、休耕されている田畑や雑木林がソーラーパネルで埋め尽くされている土地を目にする。
土砂災害の恐れがあっても、金を積まれれば、
メガソーラー建設のために山を売る人も出てきている。


つづく。


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