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手の震えと赤ら顔

20年ほど前から妻の影響でクドカンの映画やドラマを見るようになった。
綿密に練られた高いストーリー性とコミカルな要素が盛り込まれ、
劇団大人計画のメンバーや個性的で演技派の俳優陣が出ていた。
その中でも俺が好きだったのが古田新太さんだ。
個性的なアル中キャラを自分に被せていたのかもしれない。

古田さんが先日出演していたテレビ番組を見て、「あっ!」と思った。
むくんだ赤ら顔、震えを隠そうとして組んだで両手、
「間違いない」と確信した。
年齢も俺に近い、俺は6年前49歳の時に血反吐を吐いた。
内臓機能の差があるとはいえ、50代にもなると酒飲みの内臓は悲鳴を上げる。

俺も当時、酒が切れると手が震えた。
手の震えを隠そうと、肘から先はフリーにしなかった。
茶碗を持つ手はテーブルの上に固定した。
箸だとバレるのでスプーンを使うカレーライスを食べる機会が多かった。
隠しきれないと思ったならば、おにぎりを買って食べた。
そして、精神病院に強制入院させられる半年ほど前から手の震えは顕著になった。
手の震えを隠そうと、昼間でも酒を飲んだ。
酒が回れば手の震えも止まった。
手の震えと呼気の酒臭さ、両方を隠すのは至難の業だった。
写真はなるべく撮られないようにしていたが、
集合写真など写り込まなければならない時は最後列に並んだ。
しかし、のちに配布された写真には、むくんだ赤ら顔がバッチリ写っていた。

古田さんは、三度の飯より酒がという根っからの酒好きと聞く。
「酒は芸の肥やし」と、自分を肯定化しているのであろう。
心配だけど、それも込みの古田新太の魅力として、
赤の他人であるファンは受け入れているのかもしれないが、
今後苦労するのは本人と家族をはじめとする周囲の人だ。

俺もそうだった。
しかしそれは、「肥し」と同時にそれは酒への「逃げ」でもある。
役者は繊細な職業だ、どうしようもない心の中の葛藤を、
酔っぱらうことによって麻痺させているのではないだろうか?
「酒で死ねれば本望だ」は、言い訳に過ぎない。

古田さんがアルコール依存症なのは間違いないだろうが、
肝臓や膵臓、脳ミソや運動機能が壊れてしまう前に気づいてもらいたい。
才能ある俳優さんなだけに、体に気をつけて長く活躍してほしい。
今後は、秘かに「断酒キャラ」で売ってほしいとも思っている。


つづく。


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