SSブログ

会の私物化

「今夜、例会に行かない?」
昨夜妻が聞いて来た。
「行かないよ、先月行ったばかりだし」
「飲酒欲求は起きないし、てか飲んだら死んじゃうし」
「先週の血液検査でも肝臓の数値も正常だし、癌も再発していないし」
「顔を忘れられない程度にもう少し時間を空けるよ」と、俺は即座に答えた。

昨日は第4木曜日、断酒会の月間スケジュールはインプット済みなので、
どこの例会場で何時開始か知っている。
その例会場は車で80分もかかるので、仕事を早めに切り上げないと間に合わない。
それに、その例会場の司会者である支部長は、断酒の先生化した大ベテランさんだ。
その参謀役の人もベテランさんで、俺たち夫婦が行っても生徒扱いされるのは間違いない。
その人たちの体験談はいつも同じ話だし、
俺たちの発言の順番になると発言中にも茶々を入れてくる。
俺は思う、「助言をしている貴方たちだって、所詮アル中でしょ?」と。

例会の場では、言いっぱなし、聞きっぱなしが原則なのに・・・

自助グループは、ともすると頻繁に定期的に集まる対面集団と化してしまう。
高齢者仲良しグループのコミュニケーションの場とされていては、
羞恥心を取り払い、勇気を振り絞ってやっと例会にたどり着いた人にしてみたら、
「あれっ、ここって俺の来る場所じゃない?」と思われてしまう。
喋ることで過去の自分を深堀して見直し、他人の体験談を聞いて参考にし、
今後どう病気と向き合い立ち直っていくのかが目的なのに。
そこでのアル中おじさんからの助言などは迷惑以外の何ものでもない。
「アルコール依存症のあなただって、いつ再飲酒が始まるかわからない身でしょ?」
「先生気取りでアドバイスしないでよね」と。
聞きたい話があれば、医師が講師のセミナーや講演会に足を運ぶ。
そして不明な点や不安な点があれば、その場で自ら質問する。

会が時代遅れだと言われるのも、役員のなり手が少ないというのも原因の一つだ。
役員のなり手不足から同じ人が長期間役員をし続けることになり、
その結果、会の私物化の弊害が生じる。
会の私物化は、会員が増えないという問題にも通じる。

また、自分がアルコール依存症であるということを、職場や近所に知られたくないという人も多く、
大っぴらに会を周知宣伝できないところも、会員が増えない理由の一つだ。
それに、俺のように症状が安定してくると、会の必要性を感じる度合いが弱くなる。
それによって退会(中抜け)する人も多い。
「再飲酒が始まったら、また入会すればいいや」的な。

病気の回復の仕方は人ぞれぞれ、
何が正解かは自分で探すしかない。


つづく。


にほんブログ村 メンタルヘルスブログ アルコール依存症へ
にほんブログ村



アルコール依存症ランキング













nice!(1)  コメント(0) 
共通テーマ:健康