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コロナスリップ

10年以上断酒を継続していた人が、スリップをしたそうだ。
まあ、少し飲んじゃったくらいなら大丈夫、と思ったが、
その人のスリップは少しじゃなかった。
再入院騒ぎにまで発展しているそうだ。

スリップは1年以上続いており、最近になって隠れ酒が発覚したとのこと。
アルコール依存症者はウソつきの達人だと以前にも書いたが、
例によって、隠しきれないほどの症状が現れたということだ。
本人は隠し通せていると信じ切っているが、脳が酒漬けになるにつれ、
身体が付いていけなくなり、ついボロが出てしまう。
アルコール依存症は、だいたいその時点で家族に発見されるのだが、
流石の断酒のベテランも、例に漏れることは無かった。
顔色がどす黒くなり、指先が震え、言動がおかしくなった。
家族だってアルコール依存症のベテランである。
アル中が多量飲酒を続けるとどうなるか、全てインプット済みだ。
バレないわけがない。

しかしその人は、家族からの「通院」「再入院」と言うキーワードに、
我に返ってまた断酒再開しているそうだ。
やはり、断酒のプロとしてプライドが許さなかったのであろう。

奥さんの話によると、コロナ禍で外出の機会が減り断酒例会も開催されず、
行き場を失い家に引きこもることが多くなっていたそう。
再飲酒のきっかけは、「暇だからちょっと飲んでみようかな?」程度の、
簡単なものだっただろう。
しかし脳と身体は、酒の味と酔いを覚えている。
一口飲むと、アルコール漬けだったころに一瞬で元に戻ってしまうそうだ。
その人の今後の再出発を応援する。

ただ一つ言えることは、
再飲酒(スリップ)は、健康体のアル中だからこそ成し得る行為であって、
脳や内臓に爆弾を抱えた人にとってのその行為は、直接「死」を意味する。
脳ミソと肝臓にメスを入れた経験のある俺にとっての再飲酒は、
家族も仕事も趣味も全て捨てることとイコールである。
俺にとっての再飲酒は、命と残された家族を懸けたチャレンジとなってしまう。
そんな勇気は俺にはない。
過去に「酒」で、どれだけ家族と周囲に迷惑をかけたのか、
思い返しただけで、「再飲酒」と言うワードは頭に浮かばない。

再飲酒は、全てを捨てて命を懸ける覚悟が無ければ、やってはならない。


つづく。


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