つまらない人間

最近の俺はつまらない人間になっていると思う。

病気していたころのように隠れ酒をしたり
「飲んでないよ」とか「昨日酒が残っているだけだよ」とか嘘をつかなくなった
仕事をしていて、無理をして倒れる寸前まで体を酷使した場合でも、
以前の俺なら、「何てことないよ、平気平気！」と、やせ我慢をしていたが、
今では「疲れた～、2～3日疲れが残っちゃうな～」なんて言えるようになった。
妻の助言にも従うようになった。
子供たちに対しても弱音を吐けるようになった。
虚勢を張らなくなった。

一方、良い人で居ようと、逆に無理をしているような気がする。
口論になりそうになると、一歩引いて自分を主張しなくなる。
「言いたいことがあるなら言ってよ」と妻に言われることもしばしば。
何か揉め事が起きたらどうしよう？と、
逃げるように、極端な早寝早起きをして家族との接点を避ける。
俺は4時起床　　21時半就寝、
妻は6時半起床　24時就寝
妻との接点は夕食時の1～2時間、
それでも些細なことで口論になりそうになると、寝たふりをしてしまう。
「うるさい！」と言われるのが怖いので、妻が眠っている時間にそ～っと起きる。
掃除の仕方、茶碗の洗い方、ゴミの出し方、ネコのゴハンの分量も指摘されたくないので、
家族が起きて来る前に全部済ませて仕事に出る。

アルコール依存症、肝硬変、肝臓がんになったことは俺にとって負い目でしかない。
いくら後悔しても反省しても、傷が深すぎるので塞がらない。
前を向いて進もうとしても、悪しき過去のことを蒸し返されて、出鼻をくじかれる。
俺の持つ向上心は、裏で隠れて自己満足として満たすしかない。
目標を達成しても、他人に見られていないところで小さくガッツポーズを取るしかない。

仕事で人と会っているとき、
ブログで自分を晒すとき、
遠方の見ず知らずのメル友さんとメールのやり取りをしているときは、
素の自分で居られる。

病気をしてから食事制限があるので、飲食に興味が無くなった。
基礎疾患があるので、仕事以外このコロナ禍では外出もしなくなった。
恥ずかしい話だが、年齢のせいか性欲も皆無だ。
人間としての三大欲求である食欲、睡眠欲、性欲と言った生理的欲求が欠けているのである。

病気を発症せずに健康な身体でいられたとしたら、
今とは違った五十路おじさんになれていたのかもしれない。


つづく。




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