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「先生」の生き残り

最近、アラームより先に新聞屋さんのカブの音で目が覚める。
身体の調子が良いのか、それとも眠りが浅いのか?
カブの音でみぃも目が覚め、俺の布団に上がって来て朝ご飯の催促、
もしかすると、みぃに起こされているのかもしれない。
夜明け前の屋外に出ると、今度はサビ親子とチビが出迎えている。
事務所に着くと、今度はシロが暴れ出す。
これが最近の俺の朝のパターンだ。

現場で少しイヤなことがあった。
作業も全て終了し、現場は引き渡しを待つだけとなった。
良い気分のところに一本の電話が。
開発行為の関係で頼んでいた土地家屋調査士の測量屋だった。
測「図面と違う部分があります」
俺「そこは以前に確認を取りましたよね」
測「イヤ、聞いてない」

ほら始まった、言った言わない論争だ。
俺の性格上、確認を取らずに仕事を変更するはずがない。
俺と測量屋とのそのやり取りを、現場作業を行った水道屋も見ていたし。
測「私がそんなこと言うわけがないじゃないですか」
俺「言った言わないになっちゃうからもういいです」
 「お客さんにとって最善の方法を導き出しましょう」

半年前の設計屋と同じ人種だと確信した。
「先生」の生き残り、いわゆる生きる化石族だ。
俺が一級建築士を持っていなかったら、相手はもっと強く出て来ただろう。
まあ水戸黄門の印籠と同じで、俺の資格なんてこんな時にしか使えない。
良いものを造ろうと日々精進努力している職人さんたちに比べたら、
資格なんて「屁」みたいなものだ。
書面に残さなかったのは俺のミスだが、定例打合せがあるわけでもなく、
俺は4か月間、現場に通い詰めていたが、
測量屋の顔を、現場が始まってから一度も見たことが無い。
まあ「土地家屋調査士なんて役所とのやり取りをするための便利屋」と、
思っていた俺も悪いのだが、
高い報酬をもらっているんだから、もっと働きなさいよと言いたい。

そして昨日、今後の現地で打ち合わせをすることになった。
俺「電話じゃあ何だから、現地で話しましょう」
測「わかりました、じゃあ朝一で」
俺「はい、8時に現地で待っています」
測「私どもの朝一は9時です」
俺「はーそうですか・・・」

土曜日と祭日は平日扱い、日曜日もお客さんの都合で仕事して、
朝8時から作業開始する俺たちの業界は、
やっぱり世間一般で言う「ブラック」なんだろうな。


つづく。


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